AWS Identity and Access Management(4)STS

AWS Security Token Serviceとは

STSとは、AWSリソースへアクセスできる一時的なセキュリティ情報を持つユーザを作成できるサービスで、一般的なアクセス認証情報と異なり、リクエストに応じて、事前に定めた数分〜数時間の短い使用期限の認証情報が発行される。STSを利用することで作成したアプリケーションに長期の認証情報を埋め込む必要がない。STSはグローバルサービスで、全リージョンで単一のエンドポイントを持つ。

認証フェデレーション

外部システムでユーザーIDを管理し、それらのシステムからサインインするユーザーに一時的な認証情報を付与することができる。外部システムは、Microsoft Active DirectoryをはじめとしたSAML対応のサービスや、 Amazon、Facebook、Google、OpenID ConnectなどのウェブIDに対応している。

EC2におけるSTSの利用

EC2のロールもSTSを利用しており、ロールで許可したサービスを利用するために、一時的な認証情報がインスタンスに対して付与される。

セキュリティ認証情報のリクエスト

認証フェデレーションによって、アクセスキーおよびセッショントークンで構成された一時的セキュリティ認証情報を得ることができる。認証情報のリクエストには以下のAPIが利用できる。認証期間はデフォルトで1時間

API名 対象 呼び出し元 有効期間(デフォルト) 有効期間(最大)
AssumeRole クロスアカウント, カスタムIdB IAMユーザ 1時間 ロールの指定値
AssumeRoleWithWebIdentity Web IdP 任意のユーザ 1時間 ロールの指定値
AssumeRoleWithSAML SAML IdP 任意のユーザ 1時間 ロールの指定値
GetFederationToken カスタムIdB root/IAMユーザ 12時間 36時間
GetSessionToken 信頼されていない環境のユーザ root/IAMユーザ 12時間 36時間

認証情報の取り消し

必要がある場合、特定の時点より前に発行したロールの認証情報の、すべてのアクセス許可をすぐに取り消しできる。すべてのユーザーは、新しい認証情報を再認証して、リクエストする必要が生じる。

AWS Identity and Access Management(3)ルートアカウントとIAMユーザ

アカウント設定と請求情報

ルートアカウントは極力使用しないことが望ましいため、AWSのリソースにアクセスする際には、AWS Identity and Access Managementで作成したIAMユーザを使用する。各IAMユーザには、ポリシーと呼ばれる各リソースへのアクセス権限が付与可能で、アカウント管理者向けには、ルートアカウント並みの権限を持つAdministratorAccessと呼ばれるポリシーが用意されている。なお、 PowerUserAccessには、IAM権限とOrganaizations権限が付与されていない

権限 ルートアカウント IAMユーザ (AdministratorAccess) IAMユーザ (BillingFullAccess) IAMユーザ (Billing)
ルートアカウントの設定情報の変更 × × ×
サポートプランの変更 × × ×
アカウントの解約 × × ×
CloudFront のキーペアの作成 × × ×
リソースベースポリシーの見直し × × ×
AWSサービス全般へのアクセス許可 × ×
AWSアカウント設定(支払い方法等)の参照 △ (※) △ (※) ×
AWSアカウント設定(支払い方法等)の変更 △ (※) △ (※) ×
請求情報の参照 △ (※) △ (※) △ (※)

BillingFullAccessというポリシーは事前に用意されていないため、各IAMユーザごとに以下のようなカスタムポリシーを付与する必要がある。

{
    "Version": "2012-10-17",
    "Statement": [
        {
            "Sid": "StmtXXXXXXXXXXXXXXXX",
            "Effect": "Allow",
            "Action": [
                "aws-portal:*"
            ],
            "Resource": [
                "*"
            ]
        }
    ]
}

参考情報

AWS Identity and Access Management(1)IAMの概要

AWS Identity and Access Management (IAM)とは

AWS IAMは、AWSをセキュアに使用するための認証認可の仕組み。UserやGroupを作成してパーミッションを付与することができる。AccessKey, SecretKeyの取り扱いは注意が必要で定期的な更新が望ましい。また、Rootアカウント(アカウントを作成したときのID)はIAMの設定するポリシーが適用されない強力なアカウントになるので極力使用しない。

IAMで作成したユーザでマネージメントコンソールにログインすることが可能で、ログインURLはIAM Dashboardより確認編集することが可能である。

安全なアカウント管理のために

安全にアカウントを管理するためには以下のような手法を講じることが望ましい。

  • ルートアカウントのアクセスキーを消去する
  • ルートアカウントをMFA認証にする
  • AWSが定期着したポリシーを利用する
  • ユーザにグループを割り当て、グループごとにポリシーを定義する
  • 最小限の権限のみを与える
  • EC2で動作するアプリケーションへは、アクセスキーではなくロールで権限を与える

セキュリティ監査

セキュリティ監査を実施することで高いセキュリティレベルを維持することができる。セキュリティ監査は、定期的もしくはユーザの増減があった際や、サービスの開始/停止時、不正アクセスが疑われる際などに推測を交えずに徹底的に行うと良い。

管理ポリシー

AWSアクセスへの管理権限をJSON形式で指定することが可能である。条件(Condition)は、項目を連ねた場合はAND、項目内で条件を連ねた場合はORとして扱われる。全てのアクセスはデフォルトで拒否、Allowが指定されれば許可、Denyが指定されれば明示的な拒否として扱われる。

分類 項目例 内容
Effect Allow or Deny 許可設定であればAllow, 拒否設定であればDeny
Action s3:createBucket 操作の指定、ワイルドカードも使用可能
Resource arn:aws:s3:::mybucket service:region:account:resouceの順で記述する
Condition “IPAddress”: {“AWS:SourceIP”: “192.168.0.1”} 条件を指定する

IAMロール

AWSサービスに対してAWSアクセスの管理権限を付与する仕組み。UserやGroupには紐付かない。例えばEC2からDynamoDBやS3にアクセスする場合は、EC2上にCredentialを置くのではなくインスタンス作成時に適切なIAMロールを紐付ける。EC2へのIAMロールの紐付けは、インスタンス作成時のみ可能であることに注意が必要である。

AWSCredentialsProvider

AWSの各サービスにアクセスするプログラムをEC2上で動作させる場合に、認証情報をCredentialsから取得するのか、IAMロールから取得するのか選択することができる。Credentialsから取得する場合はProfileCredentialsProviderを、IAMロールから取得する場合はInstanceProfileCredentialsProviderクラスを使用する。

// Credentialsから取得する場合
AWSCredentialsProvider credentialsProvider = new ProfileCredentialsProvider();

// IAMロールから取得する場合
//
// 引数(refreshCredentialsAsync)をtrueにすると認証情報を非同期に更新する新しいスレッドが生成される
// falseにすると認証情報の更新は、インスタンスメタサービスに合わせられる
AWSCredentialsProvider credentialsProvider = new InstanceProfileCredentialsProvider(true);

// 認証情報の取得
credentialsProvider.getCredentials();

STS(AWS Security Token Service)

AWSには、STS(AWS Security Token Service) と呼ばれる一時的に認証情報を付与するサービスが存在し、動的にIAMユーザを作成することができる。IAM Role for EC2はこの仕組みを利用している。有効期限は数分から数時間に設定可能である。